春香Pの雑記

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イギリスの名門校の寮生活にノブレス・オブリージュを学ぶー読書感想『自由と規律ーイギリスの学校生活』池田潔

 

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

  • 作者:池田 潔
  • 発売日: 1963/06/01
  • メディア: 新書
 

イギリスの私立中高にあたる、パブリックスクールに通った筆者の経験がつづられている。

この本を読んで私が感じた感覚は、ファンタジーを読む感覚にほど近い。厳しい規律の中での寮生活、それが私が過ごしてきた中高時代とあまりにもかけ離れているが故だろう。ハリーポッターホグワーツがまさに似たシステムであり、ハリーポッターの世界をそこに感じ取っているのかもしれない。パブリックスクールが有する独特の伝統や貴族性、生活スタイル。経験的に獲得されてきたのだろうそれらの特徴は私にとって非現実であり、同時に魅力的だ。

 いくつか印象に残った箇所について触れたい。筆者はパブリックスクールで「個人より集団を重視する」感覚が養われていることを強調する。私はむしろ、日本の方がよりこの傾向を持っており、イギリスは個人主義的傾向が強い、というようなプロトタイプを持っていた。しかし、イギリス的「和をもって尊しとなす」的感覚の裏には、経験論に基づく確信があるのであって、曖昧なものではなく、厳格な制度によってそれが植え付けられているのだろうと感じた。

 筆者が肯定的に述べている『ノブレス・オブリージュ』の精神、一次大戦での逸話も一考に値する。これは自らの道義的責任を自覚し、積極的に貢献をしようとする姿勢につながっている。古く遡れば宗教的伝導の使命感に通ずるものがあるのかもしれない。こうした感覚は今の日本人には全く欠けている感覚だ。これは二次大戦の「大東亜共栄圏」的発想への反省・反動によるものが大きいように思われるが、極端に舵を取りすぎている面がないだろうか。道義性、質等が自己利益のためのロジックにならないよう注意しながらも、こうした精神を育てていくことは今後の日本教育の大きな課題であろう。